スピリチュアル・ロハス小説『天上のシンフォニー』公式サイト

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 ミカエラ・ママネは山の頂に立ち、口笛を吹いた。上空からコンドルが何羽か舞い降りてきた。大きな翼を水平に広げて彼女の周りを旋回する。
「ここのところずっと雨が降っていません。これでは作物が大変です。何とかしていただけませんか?」ミカエラはそうコンドルに言った。
 するとコンドルは大きく鳴いて、また大空へ羽ばたいていった。それから三十分ぐらいすると、天から水滴がたくさん落ちてきた。
「よかったわ。これで作物もだいじょうぶ」彼女はそうつぶやきながら、雨の中、川に向かって歩いていった。
 川岸にある鉱泉に着いた時には雨は上がっていた。帽子を脱ぎ、ポケットの中からピラミッド型の水晶を取り出して、鉱泉の周りを囲む石の上に置いた。そして服を着たままお湯の中に入る。スカートがふんわりと浮き、それを中に押し込むとパッチワークがぼやけてきた。ふう。全身が温まって気持ちがいい。水面には泡がたくさん立ち、湯気がどんどん出てきている。パシャパシャという音をたてながら、両手でお湯をすくって顔を洗う。そして濡れた髪にかける。三つ編みのひとつひとつの結び目にお湯をかけ、しっかりと洗う。遠くから川のせせらぎが聞こえてくる。
 しばらく浸かっていると、だんだん意識がぼーっとしてきた。視線をピラミッド型水晶に持っていく。先祖代々受け継がれてきた大切な形見である。大昔に先祖が伝説の聖者ビラコチャから受け継いだという。象形文字が書かれているが、彼女にはその意味がわからなかった。使い方もわからなかった。一族の誰一人として知る者はいなかった。時が来るまでは明かされないという。伝説によると、水の上に青い服を着た女性が現れる時が、サインだという。家系は代々シャーマンだった。部族の将来を導くための霊的な調整をしたり、魂の浄化を行ったり、民族が起こしたカルマの浄化を行ったりすることが主な仕事だったが、最も大切な役割が、この石を保管することだった。両親もこの世を去り、彼女が唯一の生き残りだった。しかしこの正確な角度、いつ見ても美しい。
 体がすっかり温まったので立ち上がり、鉱泉を出た。空はすっきりと晴れ上がっていた。歩いているうちに服も乾くだろう。

 ミカエラはクスコの石畳の上を歩いていた。横には壁があり、いくつかの角に切り込まれた大きな石が、カミソリの刃一枚すら通さない精巧さではめ込まれていた。中には角が十二個もある石もあるが、ピッタリと接合されてある。伝統的な竹笛の演奏が、クスコの魂に語りかけるように、石畳を伝わって町中に響きわたっていた。
 街の市場では数多くの野菜が売られていた。大きな声が飛び交っている。ほとんどの人たちがインディオだが、中には白人の観光客の姿も見える。アメリカ辺りからやってきたのだろう。買ったばかりのペルーの民族衣装を身につけている。首にはペンダントやネックレスなどをかけている。標高三千三百六十メートルもある高地の薄い空気に慣れていないせいか、歩くたびに息を切らしている人もいる。
 自分のテントに着くと、表に看板を出す。英語とスペイン語両方で『占い』と書いてある。
 しばらくして、一人の白人の女性が入ってきた。髪は茶色のショートヘアー。ふちのない楕円形のメガネをかけている。
「今、だいじょうぶかしら?」女性は英語で言った。

WEB版完売の噂の小説ついに解禁。

story2011年、ロンドンで、中山悟は旧友クレアと5年ぶりに再会した。「あなたは特別な人よ」と告げた彼女は、しかし3日後に遺体で発見され、悟も何者かに追われ始める。地球の運命が託された壮大な計画が動きだした。イギリス、インド、フランス、日本、イスラエル、アメリカ、エジプト、ケニア、香港、ペルー、アマゾン、さらには宇宙空間、アトランティス大陸、そして未来の地球へと想像を絶する旅を続けながら、悟は、国籍も人種も違う6人の仲間と出会い、地球の隠された真実を思い出していく。

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